DAY25

ぷかり、ぷかり、海の中。

ぼんやりと、白い景色の中で誰かの事を思い出す。
それは、まだ小さい子供の姿をしていた。


あの子は、そう。

おとなしくって誰かに自分の意見を伝えることが苦手で
両親の押し付けに逆らえないような、そんな子。

年の近い子供たちには打ち解けず
ひとり本を読んでいるような、そんな子だった。

その姿を見つけては、からかい半分に雪を投げるものがある。
だけど、それに何を言うでもなくって、追いやられるままに。
そうしてまた一人何処かへ隠れてゆく、そんな子。


なんの本を読んでいるの?

気になって、こっそり覗き込みながら話しかけたら
びくりと、怯えたうさぎのような顔をして。
そうしてまた、何処かへ行った。



……遠くの事を微かに思い出しながら
ぷかり、ぷかり、のぼってゆく泡を見つめていた。

伸ばしてみた指先が、少しずつ
また、元と同じような魚の鰭になりつつあった。

それが、急に恐ろしくなる。


同じ姿になりたい。
さかなの姿では、陸には上がれないから。
さかなの姿では、人の気持ちを知れないから。


だから、それには
人を、食べなくっちゃいけないんだ。







  • 最終更新:2017-10-09 10:33:21

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