DAY43

古びた漁師小屋に朝日が差し込む。
潮風に朽ちた床板の木目も、朝日に照らされれば
不思議と美しく見える物だった。


昨晩、日を丸ごと費やして行った部屋の整理は
日が暮れて、夜が更けてまでもしばらく続いた。
部屋が片付いたが終いの合図か、眠たくなるが最後の切りか。
ヤグヤグも、助手の男も互いに細かを覚えていなかったが、
何はともあれ日は明けた。



以前と比べずいぶんと雑荷を片された部屋は
それなりに小ぎれいだと呼べたかもしれない。


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ヤグヤグ
「……しかし、あまり片付いているというのも
却って落ち着かんものだな。」



朝食のテーブルに付き、まだ眠気の残る目で言う言葉に、
助手の男は苦い笑顔を浮かべて部屋を見る。


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ハンス
「そう、ですね……
少なくとも、ムロジャフ博士が居る、という中でこれなら
相当に片づいていると言えるのではないでしょうか。」


軽い表情を浮かべて、そう言う彼にあたりを見回すと
ところどころにはまだ落ちたままの資料と、書棚にぞんざいに押し込まれ、
角をなびかせる資料たちが目に付く。


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ヤグヤグ
「……。
戻ったら、続きをやるか。」


ため息とも、笑いとも付かずにそう呟いて、天井を見上げた。




朝食の皿が空になり、タバコの火が短くなったころ




そう言って、ヤグヤグは席を立とうとする。



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ハンス
「左様ですか。お気をつけて。
私もじきに出掛けます。」


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ヤグヤグ
「なんだ、買い出しにでも行くのか?」



問われると、助手の男は聞かれることを待っていたように
落ち着いた顔でふわりと笑う。

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ハンス
「いえ。
実は私も探索協会へ名簿登録をしたのです。
……とはいえ、あまり荒事は性分ではないので。
近隣の散策程度に留める予定ですが……」



言いながら、助手の男が見せた
自身の持つ物とは色味の違うスキルストーンに目を丸くした。

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ヤグヤグ
「……そうか。」



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ハンス
「足を引いては意味がありませんから
残念ながらお供は出来ませんが……」



スキルストーンを仕舞ながらいくらか申し訳の無いように言う彼に
軽く首を振って、腕を組む。


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ヤグヤグ
「……いや、結構だ。そうしてくれ。
海でまでお前に居られては息が詰まってしかたがない。
スキルストーンがあろうと溺れてしまう。」



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ハンス
「ふふ、そうですか。」




まるでいつもの通りに言葉を交わして部屋を出る。
その感覚が、やけに奇妙な物に思えた。



潮風に迎えられながら、古びた漁師小屋のドアを後ろ手に閉め、
海を目指して歩みを進めた。




  • 最終更新:2018-08-01 22:29:19

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